息子誕生秘話=第6話=

in #japanese5 years ago (edited)

このお話は、、、
 
息子誕生秘話
 
息子誕生秘話=第2話=

息子誕生秘話=第3話=

息子誕生秘話=第4話=
 
息子誕生秘話=第5話=

のつづきです。

このタイミングの写真が少ないのは、
 
第5話で書いたとおりです(汗)
 
 
20180526_160756.jpg
 
 
 
一向に充電ランプのつかないスマホを手に、 
 
このスマホの行末に頭を悩ませている真っ最中に、
 
突然目の前の診察室の扉が開いた。 
 
 
 
『ラダワン(嫁)さんのご家族のかたですか?』
 
…はい、そうです。
 
他のご家族の方は先ほど家に水浴びに帰っちゃったので、私だけです。
 
 
 
『先生がお話があるとのことなので中へどうぞ。』
 
 
このタイミングでお話とはなに?
 
そういうしきたり??
 
 
 
そもそも出産という人生の大行事についてあまりにも知らなすぎる。
 
いよいよ出そうだから、心の準備を!とか、
 
出てくる瞬間一緒にみるかい?とか、
 
きっとそんな話かなと。
 
 
看護師さんのあとにひょこひょこついて奥へ奥へ。。。
 
 
 
 
ベッドに横たわる嫁と、その脇にたっている先生(メガネの女性)。
 
 
 
女医『タイ語はわかるのかしら』
 
嫁『全部わかります』
 
 
わたしが答える前に嫁が答える。
 
 
ていうか、全部なんかわからんから(・∀・)
 
 
 
女医『じゃあゆっくりタイ語で話すから。』
 
 
という前置きのあとに、
 
ほんとにゆっくりとタイ語で説明してくれました。

女医『子どもの出てくるところ開くの待っていたんだけど、
 
   おなかの赤ちゃんの心音がちょっと弱くなってきているの。
 
   このまま待てばあと数時間だけど、それだと赤ちゃんとても危険。
 
   すぐにおなか切って出すのがいいと思うのだけど。。。』
 
 
 
まったく予想だにしていなかったセリフが女医の口からつらつらと。
 
ほんとに想定外、まったく予期していなかった『危険』という単語。
 
 
 
子どもが生きて出てこれないかもしれない。
 
 
 
 
 
そんなの小説とかドラマの中だけの話やろ!
 
なんで、よりによって、
 
初出産体験、しかも国外のいなかの病院で、
 
そんなハンデを持ってるうちにそんなこと起こるんやい!
 
 
ていうか、話を聞いた瞬間はよくわかってなかったかもしれない。
 
でも、子どもが危険ということはわかった。
 
 
嫁はすでにOKの返事をしていたぽく、

あとは家族の承認ということで、

わたしが呼ばれたようです。
 
 
どんだけ切開が大変か簡単かもわからず、
 
それで嫁がどれだけダメージを受けるか、
 
ちゃんと元気な元の嫁に戻れるのかもわからず、 
 
 
  
…でも、嫁がOKと覚悟を決めているのなら、
 
わたしもOKと覚悟を決めるしかない。
 
あとにどんな結果が待っていようとすべて許容する覚悟を決めて。。
 
 
 
嫁の顔を見ながら、OKの返事をする。
 
 
 
 
 
 
すぐに、手術の準備にとりかかるらしく、
 
再びわたしは廊下に追い出される。
 
 
すでに先ほどこの診療室に入る前は、

頭のほとんどを占めていたスマホのことなど、
 
これっぽっちも残っていない。
 
 
 
嫁が無事であること、子どもが無事であること。
 
 
その2つで頭が占拠されていた。
 
 
 
 
先ほどの看護師が、

何枚かの書類を持って再登場。
 
全部にサインせいということらしい。
 
タイごで書かれた書類、
 
全部読む余裕などない。
 
眺めてみても目から頭に入っていかない。
 
 
極限にテンパった状態というやつ。
 
 
 
 
しかも、そこに私以外の家族はいない。
 
わたしひとり。
 
 
間もなく嫁は麻酔で意識を失うだろう。
 
 
そのまま手術に突入したら、
 
まじでわたしだけ。。
 
 
 
嫁と息子の命が、
 
肩にずっっっっしりと乗っかてきた感覚。

しばらくして、
 
診察室のドアが開き、
 
嫁の乗ったストレッチャーが押し出されてきた。
 
 
 
ドラマとかだったら、
 
苦しむ嫁の手を旦那が優しく握り、にっこりと微笑みながら、
 
『大丈夫!がんばれよ!元気な赤ちゃんを!』
 
とか明るい背景で映し出されるようなところかもしれないが、
 
 
 
…ていうか、そんな場面を想定して心の準備をしていたが、
 
むしろわたしの方が悲壮感ただよってるし。
 
背景は間違いなく黒か灰色。 
 
それでも、嫁には笑顔をと思って口元に力を入れるが、、、
 
 
きっとかなり歪んでいたに違いない。
 
 
 
 
嫁のストレッチャーを看護師と一緒に押しながら、 
 
手術室前まで。
 
 
そこから先はお医者様たちに任せるしかない。
 
わたしはただただ祈るのみ。
 
動物園のしろくまのように、手術室の前を行ったり来たりしながら。。。

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