ふと、昔を振り返ってみた話。
私は、完璧を求めたがるあまり、自らを追い込み、つぶれていってしまうタイプの人間だ。
4年前、第一子の出産後、私はつぶれた。
たとえ数滴のよだれであっても、洋服が汚れたらすぐに着替え洗濯をする。
子供が産まれるまで、掃除機をかけるのは週末だけだった人間が、
毎朝晩と掃除機をかけ、濡れ拭きまでする。
この小さな小さな赤子が、風邪をひいてしまうことが怖かった。
乳児湿疹で肌が荒れているのは、私が掃除をさぼっているのだと責められている気分だった。
とにかく、とにかく、子供の体調不良はすべて自分が悪いのだと思ってしまっていた。
夫は、出張が多く、週に2日家にいれば良い方。
孤独でもあったが、孤独よりも、
キレイにしなくてはならないという強迫観念に駆られていた。
今にも切れそうな、ピンっと張っていた糸が、
何の前触れもなく、ぷつり、と切れたのは、
そんな生活をし始めてから2か月がたった日であった。
久しぶりに、夫が自宅にいる休日。
家族3人で、スーパーに買い物に行った。
「今夜は、お家で大好きなお寿司を食べようね」と、幸せな気分で帰路に就いた。
家に帰ると、今まで感じたことのないお腹の痛みを感じた。
つい2か月前に、人生最大の痛みである陣痛・出産を経験したにも関わらず、その痛みを超える痛みが襲いかかってきたのである。
息をすることも、喋ることもままならない。
死んでしまうのかと思った。
もう、子供にも会えないのだと思った。
大好きな夫を置いて、先にいなくなってしまうのだと、涙があふれていた。
私は救急車で運ばれた。
原因は不明。
4年経った今でも、原因は不明。
ただ、なんとなく分かる。
自分のキャパ以上のことを背負いすぎて、つぶれたのだと。
身体が先に根を上げたのだと。
それから、私はサボることを第一優先に考えることにした。
生きていたい。健康な身体で、夫と子供と人生を歩んでいきたい。
掃除も洗濯も大っ嫌い。
そんな自分の本音から目を背けず、
やりたくないことは最低限しかやらないことに決めた。
汚れに耐え切れなくなってきたら、掃除する。
さすがにやばいなと思ったら、掃除する。
洗濯物は溜めてもいい。
着るものがなくなったら、洗濯をすればいい。
子供の体調不良は、掃除してようがしていまいが、変わらない。
熱を出すときは出すし、出さないときは出さない。
気を付けはするが、過剰に気に掛けることはしない。
あれから4年。
原因不明の腹痛によって救急車で運ばれた私は、まだ生きている。
自分の人生を生きている。
自分の嫌いなことからは、逃げてもいいのだ。
それからというもの、私にとってのルール、それは
100%を目指さないこと。
気になるときに、気になったところだけ。
幸せに人生を歩んでいくには、ムリしすぎないことが大切。