浦島太郎 続編(短編小説)
先日、私はあるテレビ局の取材で浦島という島に行きました。あの有名な浦島太郎氏が住んでいたという島です。いじめられていた亀を助けた浦島氏がどうしてあのような酷い目にあったのか、謎を究明すべく私は島民から貴重な情報をゲットしました。
島民A氏の話によると、当時、浦島太郎氏のほかにも同じ被害を受けた人が続出していたそうです。乙姫からもらった玉手箱を開けたために、突如として肉体が老人に変わってしまい、この島に住みついたらしいのです。その数は百人を超えていたと言われています。それが浦島という名前の由来なのです。
犠牲者達はみんな多くの不動産を有しており金持ちでしたが、乙姫からもらった玉手箱をあけた途端に無一文となってしまいました。しかたなく島に逃げてきてみんなで自給自足の生活をしたという次第です。心優しい犠牲者達は、争い事を起こす事なく仲良く暮らしていました。しかし、彼らは自分達から貴重な青春時代を奪った乙姫を許せなかったのです。
そこで、彼らは、海辺で亀を助けるどころか、亀の甲羅をはぎ取り血だらけにしました。乙姫を地上に連れてこなければ、甲羅を返さないと、脅迫したのです。
亀 :探してみます。乙姫という名前の女はどんな人ですか?
太郎:ふざけるんじゃねー、あの時の女だ! 右の頬に星形のホクロがあったあの女だ!
亀 :分かりましたぁ~。すぐにお連れします~!
亀は泣き叫びながら海に戻っていきました。そして、ほんの数分後に乙姫らしき女が姿を現したのです。
太郎:てめー、よくも俺達の時間を奪いやがったな! どうして玉手箱なんかを俺達にもたせたんだ!
乙姫:あたしはね、玉手箱を開けないでね、って言ったはずよ。開けたあんたらが馬鹿なのさ。早く亀の甲羅を返しなさい。
太郎:返してやるもんか! だまされたお前らが馬鹿なのさ。殺してやる!
その時、乙姫が天高く右手の人差し指をかかげ、「エイヤラサー」と叫びました。同時に大地震が起こって島はあっという間に津波に飲み込まれてしまいました。乙姫は亀と一緒に不気味な声で笑いながら海に戻っていったというのです。ほほほほほほ。
「結局、心優しいお金持ちは狙い目だったんでしょうねぇ、正直で優しいだけじゃ生き残れませんからね」A氏がしみじみと語りました。
取材の翌日、出勤してみると、仲良しのカヨコの右頬に星形のホクロができていたんです。びっくりして、私はカヨコの右頬を指さして、「どうしたの、それ?」と聞きました。彼女はきょとんとした顔で私をみるばかり。鏡をみては首をひねっていました。どうやらそのホクロは私にしか見えない様子でした。
カヨコが言った。「そんなことより、先輩、突然ですけど、私、結婚することになったんです。あまり男前じゃないけど、有名な脳外科のドクターで、とっても優しいんです。」彼女は、満面の笑みを浮かべながら私にエルメスのバッグをチラッと見せたのです。
乙姫さまは、あなたのすぐそばにもいるかもしれません。お気を付けあそばせ。
ほほほほほほ。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
また読んでね。
http://jasmineyoko.com/2018/08/10/english-edition_the-sequel-to-taro-urashima-short-story/
アートのタグをつけたら怒られるかも?
面白い話しですね〜🤣
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ありがとうございます。さらに面白い物語を考えます。
イラストかわいいですね!
とても面白いストーリーでした :D
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ありがとうございます。今度はもっとキャラの濃い人を書きたいです。
今回のも面白かったですー!乙姫は小悪魔なんでしょうか〜(^^) 実際の物語も怖いですよね結構。被害届という辺りが特に面白かったです。
artのタグでいいと思います!もう皆んなの頭の中にイメージが出来上がっている絵を描くのは結構難しいですよね!可愛いい絵だと思います!
ありがとうございます。浦島太郎は被害者だとしか思えません。不思議な物語です。
@kato-artさまから絵をほめていただくと調子にのりそうです(笑)
面白くて一気に読んじゃいました笑
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妄想を文字に起こすのは楽しいですよ。楽しく読んでいただきうれしいです。