本当のコストはどこにあるのか

in #japanese5 years ago (edited)

ご存知の通り、もはやオンライン消費が主流になりリアル店舗がだんだん減少しているという現象が起きています。

少し調べてみたところ、書店の数はこの20年弱で4割以上減っていて、2020年には1999年の半数以下となる見込みのようです。
一日中本屋さんにいたいほど本屋さんが大好きな私としては大変残念なことです。。。

書店数.jpg
(出典)日本著者販促センター http://1book.co.jp/001166.html

書店に限らずこの傾向はあると思いますが、私が先日家電量販店で体験したことを少し書かせていただきます。

プリンターのインクカートリッジを購入すべく近所の家電量販店に足を運んだところ、商品の価格は3,900円ほどでした。

思っていたより高かったので、スマホで価格を調べたところ、3,300円が最安値だとわかりました。そして意外にも、その最安値の店舗は私が足を運んだ家電量販店のオンラインショップでした。

まさにリアル店舗にいて、目前に購入したい商品があるのに同じものをその店のオンラインショップで購入すれば安くなる という不思議な感覚の中、それならばと私はオンラインショップで商品を購入しました。

そして翌日。
宅配業者の方が自宅にインクカートリッジを丁寧に梱包してお届けいただきました。
しかもオンラインで購入した方がポイント還元率が2%ほど良いというおまけつき。

リアル店舗より2割近く安い上に宅配業者に運んでもらう配送コストもポイント原資もかかっているので、1オーダーあたりの利幅はかなり薄利になっていると思います。

本当ならリアル店舗でその商品を3300円で販売すれば、配送コストもポイントコストもかからないし、私も即時に商品が手に入るのでベストなのですが、実際にはそうはなっていません。

そこで疑問なのが、そのコストはいったい誰がどんな形で肩代わりしてどういう構造になっているのかということです。

家電量販店は利益を上げる必要があるので、そのコストはどこかで回収する必要があるでしょう。
そのコストのけっこうな部分を負担するのは恐らく、リアル店舗で商品を買っているお客さん(例えば、私が買った同一商品を3900円で購入した人)なんだと思います。

こうなると【多店舗と価格競争にさらされるオンライン店舗】と【オンライン店舗のコストを埋めあわせる必要があるリアル店舗】という構造が固定化されてしまい、オンラインとリアル店舗の商品価格の乖離は継続せざるを得ないし、より鮮明になっていくのだと思います。

短期的にはこんな形でもなんとかなるんだと思いますが、さすがに消費者もそんな事には気づくでしょうし、今気づいていない消費者層、例えば高齢者の方々も世代が代わってしまえばネットが使える高齢者が殆どの状態になるでしょうから、やはりリアル店舗の生き残りは苦しくなるのでしょう。

しかし、個人が自分の損得勘定だけで行動をし続けると、冒頭に挙げたような書店数の減少のようにどんな業態もリアル店舗が減少していくことは免れず、リアルな世界での消費はかなり限定されていく(既にされている)のでしょう。
そして、当然そのお店で働く人も不要なので仕事は減っていくでしょう。

ここまでくると、積みあがったコストの負担者は店舗(会社)とその従業員となるのでしょう。
あるいはリアルな店舗が無くなって困る消費者がその負担を背負うことになるのでしょう。

本屋さんの現状のように、「そうなって欲しくない」と私は強く思うのですが、だからといって敢えて高い商品を買おうという気にもなりません。

結局どうすれば良いのか答は出てこないのですが、消費者は賢い消費者として最適な行動を選択し、働く人は誰もが幸せになるために日々仕事をしていて、その最適解を求めて行動した結果、こんな構造ができあがっていくというのはなんだか悲しい気持ちになりました。

特に私は地方創生(京丹後地方)をテーマに細々とプロジェクトを企画中なのですが、毎年お店の数が減って衰退していく町の姿を目の当たりにするとやるせない気持ちになってきます。

(恐らくこれらの影響はローカル地域からはじまり、東京や都市部には最後にやってくるので実感がない方も多いかもしれませんが、)自身が目の当たりにしている町の衰退の理由の1つが何気ない自分の購買行動から見えた気がします。

人々が幸せに生きるためにはどうすればよいのでしょうか。

答えは出ませんが、今日はこのあたりで!

Have a nice day☺

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わかりますわかります。配送は環境へのコストも高いですし、でも便利なんですよね。でもどこかでツケがきそうで、どうにかしたい。
とくに本屋さん、住み着きたいくらい好きなのでどうにかしたい!
本屋さんは図書館的な何かにシフトしていくのかもしれません。本屋さんより小規模ですが、六本木ヒルズのアカデミーライブラリはちょっとそんな未来が見えます。
以前、本屋さんでは見本のみ展示して、AmazonのアフィリエイトQRコードをはって稼いだらどうだろうなんて考えていました。

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仰る通り、リアル店舗はショーウィンドウ化してしまって、購入はオンラインでどうぞのスタイルはありですよね。
Amazon自身はAmazon booksをシアトルに開店してリアルに進出しているので、その仕組を3rdパーティ向けアフィリエイトプログラムとして提供する なんてことは現実に起こりそうな気がします。
ただその時に気になるのは、Amazon に依存した薄利な事業モデルになってしまうことと、店舗に人間不要という流れは免れないのかもしれませんね・・。

私もこの件、よく解ります。本屋さんや図書館で手に本を取って中身をみたり、近くにある本に偶然に遭遇したり、そういう「きっかけ」がネット購入では少なくなってしまうように思います。それに家電なんかは実際に触らないと解らないことが沢山ありますよね。でも奈良のY電機さんに行っても、店員さんの数は少なく、もう半分「展示会場」みたいに閑散としていて、ホントに販売したいと思っているのか?と疑問に思うこともありますが、私も実際に購入するのは価格コムだったりするので、そんな対応になるのも当然だと思います。今はまだNETをあまり使わない50代以上の方がおられますが、その後はどうなってしまうんでしょうね。

個人的には、オフ会的なことができる小さいスペースを持つ販売店が増える、または生き残るんじゃないかなと思ってます。要するに地域の電気屋さんでも、細かい対応にも答えるし、修理やメンテナンスも請け負う、少しの会話もできる顔見知りが居るお店です。外国産含むメーカー以外の家電が販売されるようになったいま、「修理」よりも「買い替え」が当たり前になってくるのかも知れませんが、風潮としてはエコサイクルや本物志向に戻るような気がするので…。

ここ数年、郊外型の大型スーパーが有るから安心して引っ越してきたという年配夫婦がそのスーパーの撤退によりとても困っているというドキュメンタリーやニュースが見られるようになってきましたが、こんな大型スーパーが開店したことで閉店を余儀なくされた地元のお店がある訳ですよね。こういう負のサイクルは社会や企業、自治体全体で考えないといけないと思います。少し逸れてしまいましたが、ごめんなさいm(__)m

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@yoyo-jpさん
ありがとうございます。
仰るご意見、よくわかる気がします。
家電量販店と町の電気屋さんを比較したときに、町の電気屋さんの方が良い点があると思っています。例えばエアコン1つ買いたいと思って大規模家電量販店に行くと、国内から海外まで数十点のエアコンが並んでいて検討コストが非常に高い(要は選択が面倒)です。その点、町の電気屋さんでは、地域の特性に合わせて戸建てやマンションタイプなどで多くても5台くらいに既に目利き&フィルタリングしてくれているので非常に選択がラクです。また、家電量販店では行く度に違うスタッフが応対する可能性の方が高いですが、町の電気屋さんだと同じ店主さんが対応してくれるので、自分にとってのコンシェルジュ的な役割を自然に果たしてくれているようにおもいます。
ここでいう、「コンシェルジュ」的なものが@yoyo-jpさんが仰るオフ会可能で細かい対応が可能なお店 というイメージに近いかと思いました。
また、エコサイクルや本物志向への回帰という点も賛成です。そうあるべきという意見もありますが、既にファストフードやファストファッションがもたらす弊害(健康問題であったり資源問題であったり労働問題であったり)が指摘されていることもあり、消費に関しても見直されることになると思います。

ただ、最後にご指摘いてだいている夫婦スーパーの撤退で困っている老夫婦 みたいな方々を救うのはチャレンジングですね。最も問題なのはその方の世帯に若い人たち(子供や孫)がいないことだと思います。
UターンやJターンはじめ、若い人たちが地方に住み、コンシェルジュとまでいかなくても、そういった方々の生活をサポートできる地域コミュニティを築くことができればよいな、と思います。

私の方こそ話がだいぶ逸れてしまいましたが、こういう事を考えるのは大切な気がします。

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