株トレードと分析麻痺
あるスーパーマーケットでの実験です。
24種類のイチゴジャムの試食コーナーを店内に設けました。試食した客の3%がイチゴジャムを購入しました。同じ実験をイチゴジャムの種類を6に減らして行ったところ、ジャムを購入した客の数は30%に上昇しました。
「選択肢は少ない方が売上に好影響」という結論を引き出すことができます。
同様なことが株のトレードでも起きます。
日足チャートに入れた3本の移動平均線は全て揃って上昇している。(買いだ!)
しかし、日足チャートに入れた相対力指数は過熱を示す数値を既に大きく超えている。(ここでは買えない!)
日足チャートはアップトレンドが顕著だが、月足チャートはダウントレンドだ。(やはり、現時点では買えない!)
しかし、週足チャートのストキャスティクスにはゴールデンクロスが起きている。(買っても良さそうだ!)
80%のアナリストはこの株に買い推奨を出している。(やはり買っても問題なさそうだ!)
待て、株価があと2%上昇すれば、株価は日足チャートに走るレジスタンスラインに接触する。(さて、どうしようかな???)
上は極端な例かもしれませんが、情報が多すぎると「分析麻痺」に陥ってしまい、売買判断が素早く出来なくなってしまいます。繰り返しますが、24種類ものイチゴジャムを見せられた客は、たったの3%がジャムを実際に買いました。しかし、6種類に減らした場合は、10倍に相当する30%がジャムを買ったのです。
昔のトレーダーたちの事、たとえば1970年代に株の売買をしていた人たちのことを考えてみてください。今日のようにインターネットなどありませんから、情報を瞬時に得ることはできませんでした。もちろん、リアルタイムのチャートも普及していませんでしたから、毎週出版されるチャートブックがテクニカル分析の重要な情報源でした。
「良い判断を下すためには豊富な情報が必要だ」と考える人が多いですが、現実はその反対です。テンプル大学が行った実験によると、問題を解決しようとしている人に次々と新しい情報を与えていくと、脳は最終的に情報を受け入れることを拒否し、問題を解決することができなくなってしまいます。
もし、あなたのチャートがこんな状態なら、脳は情報を適切に分析することができません。
人間悩むと買わないんですね
そうですね。選択肢が多すぎると迷ってしまい、結局何も買わなくなってしまうようです。