AYUMI HAYASHI WORKS.20180507

偏愛モラリスト

物理的な距離と感情的な距離は
いつもすれ違ってばかりで
ろくでもない空虚な灯火を付ける

この空間が明るくなることもなく
柔らかい棘となって貫いて
首を傾げた奴等が薄笑いを浮かべている

それはそれとして
叶わない 届かない 伝わらない 無音の電波
遠吠えしても誰も見つからない
仕組まれた架空の世界 未来は儚い

生きやすいだとか
生きにくいだとか
容易い言葉に流されて
黒い影が伸びてゆく

絶景は茹で上げられて
悪しきモノと定められた
強いられた環境
奪われた灯火
呪われた宇宙

排他的な物言いに吐き気がする
あわよくば生き延びたい
薄汚れた世界は
クリーンに崩れてゆく

土に還れば
今度は何が生まれてくるだろう
繰り返される輪廻は
途方も無く

ため息をひとつ

意外と世界は愛されている