秋と言ったら秋刀魚

「腐っても鯛」「海老で鯛を釣る」などのことわざは、どれもタイが魚の王様であることをうかがわせます。「金目のものを釣るなら真鯛か伊佐木」という身もふたもない言い方もあると『釣りと魚のことわざ辞典』に教わりました。
そんな値段の張る魚の代名詞であるタイが、ついにサンマの後塵を拝したらしいです。東京の豊洲市場では、1キロあたりの北海道産生サンマの卸値がマダイを上回っています。秋の珍事と言えるのではないでしょうか。
新米のごはんに焼きたてのサンマ。お金のかからない贅沢が遠くなっているようです。あるいはサンマは高級魚だと、考えを改めねばならない時代なのですか。不漁には慣れてきた気もするが、この秋は段違いです。
8~9月の漁獲高は「半世紀ぶりの不漁」だった一昨年と比べても4分の1以下です。日本近海の水温が上昇してサンマが近づかないというから、地球環境の変化が関わっていますか。高いのに細身の生サンマをお店で眺め、他の魚を選ぶ方も多いのではないですか。
そういえば今年は、当方もまだ冷凍サンマしか味わっていないです。先月初め、都内であった「目黒のさんま祭り」に出かけた時も冷凍物を炭火焼きしていました。万が一来年も不漁が続くなら、冷凍サンマすら品薄にならないかと心配になります。
かつて江戸の魚河岸では、秋の最盛期にサンマがどっと集まり、お祭り騒ぎのような日が続きました。「秋刀魚騒がせ」と言ったらしい。今のような取れないがゆえの「お騒がせ」の日々が、うらめしくなります。