21世紀の民主主義、暗号通貨とリキッドデモクラシー(Liquid Democracy)
「イーサリアムやNEMが民主主義を変える」と言ったら驚きではないでしょうか。
テクニカルなことは抜きにして、いまの民主主義を変えるかもしれないリキッドデモクラシーについて簡単にお伝えしたいと思います。
暗号通貨はお金だけじゃない
暗号通貨とブロックチェーンは、お金の受け渡し方法としての媒体と、改ざんされない記録としての方法の2点だけが注目されていると思います。
ブロックチェーンに託されているもう1つの機能が「ガバナンス」です。実はこのガバナンスが、国民や株主が諦めてしまった投票を大きく変える力になるかもしれません。
暗号通貨でいうPoSに取り入れられつつあるのがこの投票機能であり、その新しい投票の仕方として考えられているのがリキッドデモクラシーです。
リキッドデモクラシーとは?
流動的な民主主義というと分かりにくいので、下の図をご覧ください。
自分で直接Aという案に投票してもいいし、誰か詳しい人に「委任」して代わりに投票してもらってもいい、ということです。
例えば、経済問題のテレビをみて「ホリエモンが正しい」とか彼が考える未来にワクワクする人は、ホリエモンに経済問題の投票権を委ねるんですね。
委任する相手は決して有名人じゃなければダメというわけではなく、身近な友人で詳しいと思う人がいればその人に委任するというのでも構いません。
自分の得意分野では直接投票して、そうでないものは誰かに委任するというふうに、ミックスした投票制度がリキッドデモクラシーなのです。
そういう意味で、リキッドデモクラシーは直接民主制と代理民主制のいいとこ取りと呼ばれます。
分野ごとに委任すればいいじゃん
国の政策っていろいろありますよね。財政政策、金融政策、公共事業、教育、環境問題。これをひっくるめて私たちは1人の政治家に託し、そして最終的には1つの政党が決めていきます。
これ分野ごとに選べばいいんじゃない?ということも、リキッドデモクラシーでは可能になります。
財政は◯党のこの人、経済は評論家のあの人、教育はこの本の著者のこのひと、という具合にです。
委任された人が別の人にまた委任するということもできます。信頼を投票権に託して繋いでいくんですね。
暗号通貨とデモクラシー
暗号通貨と民主主義というといかにもかけ離れた言葉に感じますが、いま着々とそれをブロックチェーン技術に落とし込んでいっています。
PoS通貨はとてもわかりやすく、保有者に利益を分配し、さらに投票権も与えようとしています。
その開発方針や機能拡張をトークンホルダーの投票によって決めるのです。イーサリアムやNEM、Wavesが先陣を切って行くでしょう。
デリゲート(委任という意味)とか、ガバナンスとか、投票という言葉が暗号通貨のニュースで出てきたときは、こういう未来に近づいているかもと感じてもらえれば幸いです。